🎥美学No.80《ロミオとジュリエット》

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今から、約430年前に書かれたウィリアム・シェイクスピアの名作。対立している二つの名家、モンタギュー家の息子ロミオとキャピレット家の娘ジュリエットとの悲恋を描く。

《たった一つの私の恋が、憎い人から生まれるなんて。知らずに逢うのが早すぎて、知ったときにはもう遅い》

1968年製作のフランコ・ゼフィレッリ監督版は、原作同様14世紀イタリア・ヴェローナが舞台。古典美を重視し、シェイクスピアの世界を丁寧に視覚化したこの映画の見どころは、何と言ってもジュリエット役のオリビア・ハッセー。当時16歳の彼女の何と初々しく美しいことか!!心を射抜くような真っ直ぐで純な眼差し、それに対して豊満なバスト。可憐な表情に反するハスキーな声。この絶妙なアンバランスから目が離せない。主役はジュリエット!として観てしまう。18歳のロミオと16歳のジュリエット、実年齢に近いキャスティングは功を奏した。ニーノ・ロータの悲恋が心染み入るテーマ曲は映画音楽の代表的な名作となった。

1996年製作のバズ・ラーマン監督版は、時代設定を現代に変えて、両家の争いをマフィア同士の抗争に置き換えている。舞台はヴェローナ・ビーチという架空の都市。服はアロハシャツ、城は高層ビル、決闘は銃撃戦。衣装はプラダやドルチェ&ガッパーナが使われ、全てがスタイリッシュ!!音楽のサントラ盤も聞き応え十分で、映画とは離れた1枚のCDとしても完成されている。ロミオは、当時22歳のレオナルド・ディカプリオ。1993年「ギルバート・グレイブ」で知的障害を持つ少年を演じ、アカデミー賞にノミネート。1995年『バスケットボール・ダイアリーズ』『太陽と月に背いて』と、ディカプリオの繊細で危うい美しさが絶頂な頃。故に、主役はロミオとして観てしまう。二人が出逢い、水槽をはさんで見つめ合うシーンは幻想的な美しさ。

この二本、映画館でも観たがDVDも持っている。現代版のスピーディーなカッコ良さに浸っていると、またゆったりした古典版も観たくなる……という具合に、私にとってシーソーのような関係。が、考えてみると古典版には初々しい愛を、現代版には恋を題材にしたクリエイションのパワーを観ている気がする。時代と共に生きている、忘れてはいけない「人の道」と「創造の力」ということなのか。人生1回につき、恋も1回!!……なんて法則があったなら、私は誰を……などと考えてみる。

《薔薇と呼ばれるあの花は、他の名前で呼ぼうとも、甘い香りは変わらない》

 

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