👗美学No.64《古着》

By waltzblog 2 comments

ファッションの中で「古着」が確立したのはいつ頃だろう。私の古着認識は1974年、千駄ヶ谷にあった『ハリウッドランチマーケット』。その2年前にオープンしたショップは、狭い螺旋階段を上るとお香の匂いがして、ネルシャツ、アロハシャツ、ダンガリーシャツなどのアメリカンユーズドアイテムが並んでいた。スウェット、パーカーなども他にはなく珍しかったのを覚えている。今はどこにでもある定番アイテムが、当時はどこにもなかった。ということは、この頃が日本において古着をファッションとして認識された始まりではないか。

今の古着屋で売られているのは、1980年代以降のものだろう。私の古着全盛時代は、その1980年代。つまり、今の古着が40年前の服だとすると、当時は1940年代の服が店頭に並んでいた訳だ。現代の古着とは違い、欧米のものが中心で、一点物の手縫いのドレスや、ハリウッドの女優が来ていたようなゴージャスなものもあった。1920年〜1960年代はファッションの黄金時代。アッと驚く素敵な掘り出し物が沢山!私もロンドンの化粧品メーカー『BIBA』の赤紫色の口紅を塗って、テロテロな生地のアンティークのプリントワンピース、アメ横『中田商店』で買った革ジャンにウエスタンブーツという組み合わせをしていた。ファッションがドレスアップからドレスダウンにも価値を与える時代になった時だ。1980年代はDCブランド全盛。上から下までブランドにならなかったのは、まずはお金がなくて買えなかったこともあったが、自分らしさがなくなると感じたから。ブランドの思い通りにはならないよ……という気持ちがあった。後に、自らブランドを立ち上げるとは思いも寄らない頃の話。

今、私の手元にある唯一の古着は、40年前に渋谷の『オキドキ』で買った手編みのカーデガン。編み込みの黄色い自転車が可愛くて、度重なる断捨離をくぐり抜け生き残ったもの。誰かのために編まれた黄色い自転車は、まだ私の背中で時代をロードレース中だ。

最近は、自らのワードローブ内でのリメイクがマイブーム。デザインは飽きたけれど、生地は好き!というものは解体して11cm×15cmの長方形にカットし保存。それを接いで他の解体した洋服と合体させる。ぴったりしたテーラードジャケットもパッチワークが創る新しいシルエットに、数十年前のコムデギャルソンのスカートもワンピースに変身。マイワードローブが「古着」と化した今ならではの楽しみである。

 

 

 

2 Comments

うさこ

4月 4, 2022, 8:05 am 返信

ドキドキしながら入った渋谷の外れ古着屋さん。お小遣いを貯めてアメ横で買ったサイドゴアブーツを履いて(笑)
その時買った赤いチェックのマフラー、随分着けてないけど今もクローゼットに♪

waltzblog

4月 4, 2022, 5:37 am 返信

渋谷からアメ横……同じ、古着ショッピングですね。探す楽しみはワクワクでした😃

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