🎼美学No.2《Vales pour Camille》

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邦題:カミーユのワルツ  仏題:Vales pour Camille

「ワルツ〜カミーユ・クローデルに捧ぐ〜」のテーマ曲が誕生したのは2014年。その前年、趣味である登山の山頂で流れる雲を見ていた。私の脳内に、ふわっと降りて来たメロディー。物悲しく切なく、でも希望がある……そんな情感溢れる美しいメロディーが頭から離れない。ずーっとリフレインさせながら山を下りた。メロディーはしっかり口ずさめるけど、曲名が分からないまま……。

ある日、ワルツの音楽プロデューサーに聞くと「それは坂田晃一先生作曲の「さよならの夏」」だと。しかも、日本が誇る叙情の作曲家と彼は共に仕事をしていた!!奇跡!!その縁にすがって、大胆にもテーマ曲を創ってもらおう!とワルツの脚本を送った。これが、まるで天からのお告げのような作曲家・坂田晃一先生との出逢い。

歌曲を創りましょうということになり、「作詞はどなたが?」の先生の問いに、ずうずうしくも「私が!」と言ってしまった。著名な脚本家や作詞家の方々と仕事をしていらっしゃる先生に、初めて書いた脚本を持ち込んで、無謀にも!!でも、一生にあるかないかの、こんな夢のような機会を逃してはならない!!一心だった。

最初に音源が送られて来た時の感動は、生涯一!!涙、涙、感動の嗚咽が止まらなかった。私が初めて書いた脚本がまるごと、否、それ以上のものがその1曲に込められていた。美しい旋律が全てを物語っている。言葉は不要に思えて来る。とにかく聴いて、聴いて、目を閉じて、音符に心を添わせる。人生の後半30年を過ごした精神病院で、78歳のカミーユ・クローデルがこのメロディーを聴いている。そして、旋律に導かれながら、自分の人生を振り返り、心情を呟く……。

  ひとり、今……耳をすまして    ひとり、今……その声を聞く

そうやって歌詞はできた。

私の詞が坂田先生の創った音符に1字1字書き込まれ、右上に、作詞:宮本尚子、作曲:坂田晃一と記載された楽譜が送られて来た。私は天に昇った。タイトルも先生がつけてくださった。私は100カラットのダイヤモンドより素敵な、一生の宝物をもらったのだ。

むかしむかし、私が少女だった頃に大好きなCMソングがあった。カルピスのCMで、秋篇と冬篇があり、そのメロディーを聴くと、どこでも、どんな時でも胸がキューンとなり、泣きたくなった。ずーっと大好きだった。テレビから流れなくなって悲しかった。ひょっとして……と、坂田先生にたずねると「それは僕の作曲です。」と!まさしく降臨!!山頂には、きっと奇跡を起こす女神がいる。

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