🎼美学No. 41《ベット・ミドラー music》
一度見たら忘れられないファニーフェイス、歌手で女優のベット・ミドラー。歌手として3度のグラミー賞、女優としては2度のアカデミー賞ノミネート、3度のエミー賞、4度のゴールデングローブ賞、2度のトニー賞を受賞。アメリカを代表するショービジネス界のレジェンドだ。
1972年26歳のデビューアルバム『THE DIVINE MISS M』。ナイトクラブで実績を積んだ実力で、グラミー賞最優秀新人賞を受賞。『Do you want to dance……』と誘うハスキーな囁きでハートを掴まれる。カーペンターズのカバー曲『Superstar』は、まるで彼女主演の切ない愛のドラマ。
2ndアルバム1曲目『Skylark』はジャズのスタンダード。作詞のジョニー・マーサーが、当時交際していたジュディ・ガーランドへの愛を込めた曲。他にもクルトワイル、ソウルなど、どんなジャンルも自分のものにする驚異の歌唱力は圧巻。ボブ・ディランの『 I Shall Be Released(我、解放さるべし)』は、manをwomanに変えて歌う彼女のメッセージ。この曲は私も若い頃、心のテーマソングのように唱えていた。
3rdアルバムは、フランク・シナトラの持ち歌『Strangers In The Night 』でスタート。ディスコティックなアレンジに心が躍る。パティ・ペイジの持ち歌や、フィービ・スノウの楽曲、どれも彼女ならではのフィーリング。『Buckets of Rain(雨のバケツ)』では作者のボブ・ディランとデュエット!相互のリスペクトが分かる。
『THE ROSE』は、同名映画のサントラ盤。「Drug, Sex, and Rock’n Roll !!」とシャウトするロックシンガー・ローズが堪能できるアルバム。『男が女を愛する時』は泣ける。切なさは強い。この曲のカバーではBEST!ラストの『The Rose』で完結の涙!!!
じっくり一枚のアルバムを聴くということが少なくなった。歌手や楽曲はネットで調べれば分かるし、無料配信で聴くことも出来る。昔はアルバムで向き合った。まず、ジャケットビジュアルから入り、歌声に耳を傾け、楽曲構成からなるメッセージを探り、その世界に浸る。音楽はBGMではなく、真剣な自分探しの宝庫だった。
2017年71歳、舞台「ハロー・ドーリー」でトニー賞ミュージカル主演女優賞。初日のチケット売上はブロードウェイ記録を樹立。レジェンドはまだまだその魅力で世界を虜にしている。