🎼美学No.12《MITASORA》

By waltzblog 1 comment

パリ、サン=ルイ島ブルボン通りにあるカミーユ・クローデル最後のアトリエ。ここからカミーユは精神病院に連れて行かれ、二度と戻ることはなかった。家具もない壁が剥き出しの部屋、孤独と貧困の中で、創作作業に打ち込む日々はどんなであっただろう。作業に疲れて、ふと、アトリエの窓から空を眺める一時があったに違いない。その心情を書いたのが『MITASORA』という歌詞。

2017年11月17日、静岡県立美術館ロダン館で「ロダン没後100年記念事業」として開催されることになった「ワルツ〜カミーユ・クローデルに捧ぐ〜」公演。ロダンの助手として共に制作した彫刻『地獄の門』の前での公演は、19世紀末のパリでは叶わなかった二人の恋を21世紀の日本で、改めて結んだような気持ちがした。

公演間近の10月2日「『ワルツ』のためにもう1曲歌を作るのはどうでしょう?」という坂田晃一先生からのメール!「わわわっ!!素敵すぎます!!!」とすぐに返信。その頃は、リハーサルやチケット、宣伝やその他諸々、目の回るような忙しさ。9日に新曲の音源が届き、翌10日は静岡ロダン館での公開リハーサル、15日に歌詞を書いて先生に送り、翌日メロディーの一部変更、それに合わせて歌詞変更と2番を作詞……で、ついに公演1ヶ月前の10月17日に完成!!24日のサントラ盤収録にも滑り込みセーフ!!怒濤の日々は、名曲誕生の喜びに変わった。

挿入歌は讃美歌のような祈りの曲に。坂田先生の命を受けたものの、多忙極まる公演の準備で、なかなか頭脳が作詞モードにならない。ふと、窓を開けて空を眺めた。新曲のメロディーをリフレインしていると「私が見た空 真昼の夢よ」という言葉がスルッと出て来た。石の粉で汚れた麻のスモックコートを着て、左手には鑿、右手には鑿を打つハンマーを持って、私は空を見上げていた……まさに、そんな気分だった。空から降りて来てくれたカミーユ、私は貴女の目になったのだ。

たった2週間でこの世に誕生した『MITASORA』、これから沢山の人の心を癒し、愛されてね……と、母親のような気持ちで送り出した。

私の人生において、作曲家・坂田晃一の創る旋律に詩を書くほど、感動的で幸せな仕事はない。そのメロディーを聴いていると、琴線が震え、天からの啓示を受けるように言葉が降りて来る。これこそ「私の美学」と言える魂の仕事なのだ。

カミーユが見た空は、小さな四角い空だった。

 

 

 

1 Comment

うさこ

5月 5, 2021, 1:39 pm 返信

『mitasora』、唱えると頭の中はミタソラのメロディでいっぱいに…

心をくすぐられるような気持ちになるや『…今頬を…』歌詞が入ってきて心はノックアウト。
into the myworld!
(英語ヘン? お許しをっ)

まだ、とゆう方、是非一度お聴き下さい♪
泣く子も黙るはずっ(^^)

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