👗美学No.50《眼鏡》
十代の終わりに初めて眼鏡を買ったとき、小さな丸眼鏡が欧米のお婆さんみたいで可愛い……なんて思っていたら、あっと言う間に本物のお婆さん!!まるで、浦島太郎のようだ。その丸眼鏡に始まり、今まで、さて何個作ったか分からない。昔々は、眼鏡はダサいイメージ。眼鏡をとったら、コンタクトにしたら、あ〜ら、美しい!という漫画が沢山あった。今や眼鏡の地位も向上し、ファッション界にもしっかりポジションを押さえている。
一番お気に入りの眼鏡ブランドはOLIVER GOLDSMITH。1926年創業のイギリスを代表する老舗。映画『ティファニーで朝食を』『シャレード』で、オードリー・ヘプバーンが着用したことでも有名。「HEP」というモデル名で今でもロングセラー、近眼用とサングラスで持っている。イタリアの名女優ソフィア・ローレンへのオマージュ「Sophia」というモデルも愛用。
が、お洒落でサングラスをかけるのが、どうも恥ずかしい。日光が眩しくてとか、近眼用兼ねてとか、大義名分がないとかけられない。近眼者のサングラスはややこしい。度付きサングラス?コンタクト着用&サングラス?なので、お気に入りの度無し「HEP」のサングラスは、なかなか出番がなく眠っている。
本物のお婆さんになった今、絵を描き、ガーデニングをし、編み物をするターシャ・テューダーの生活とはほど遠い。どれも私の大好きなことだが、小さな丸眼鏡から覗くその目は慈愛に満ちて……という具合にはいかない。友人と行った眼鏡店で、試しにシンプルな銀縁眼鏡をかけてみたら「普通のお婆さんになっちゃう!」と友は笑って言った。え?普通じゃいけないの?どうやら、私に期待されているのはターシャではないらしい。強い眼光で凛と立ち、何事にも屈しないお婆さん!!「さぁ、勝ちに行くぞ!」という攻めの姿勢。ということで、私の勝負服ならぬ勝負眼鏡は、「自分らしくある喜び」というコンセプトのフランスのANNE ET VALENTIN。
100歳の現役ファッションアイコン、アイリス・アプフェルは、攻めるお婆さんの代表選手。大きな眼鏡で「私はここよ!」と挑むスタイル。文句なくカッコいい。眼鏡は人の一部……本当にそうだ。お婆さんになってからの眼鏡は、その人のスタイルの総まとめ。
そして、私の最新モデルは、やはりOLIVER GOLDSMITH。小さめの丸眼鏡、度付き、薄い茶色のサングラス。《ターシャ➕アイリス》総まとめここに在り!!