🎨美学No. 49《アンディ・ウォーホル》

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ポップ・シャーマン=アンディ・ウォーホル。彼の作品は、Tシャツ・バッグ・スマホの壁紙など、今も日常に存在し、誰もがどこかで見たことがあるはず。無感情・無性格な対象を反復し描き、どこにでもあるものの芸術化、芸術の日常化という彼のコンセプトは、現代に脈々と生きている。

チェコスロバキア出身の両親を持ち、8歳のとき神経障害である舞踏病を発症。肌が異様に白く、虚弱体質で内気な息子を母親は溺愛する。1949年ニューヨークに出てきた彼は、一週間後には『グラマー』誌の仕事を手に入れる。よれよれの服に小さな花束、受付嬢に花を1本差し出し「ボロボロのアンディ」と呼ばれた奇妙な存在は、有名雑誌の仕事を次々と手中に収める。

1963年、マンハッタンに「The Silver  Factory 」と呼ばれる自らのスタジオを創る。壁にアルミホイール、銀色のヘリウム風船、内装はエレベーターも含め全て銀色。銀髪のカツラをかぶり、自らをアイコンとして60年代を代表する時代のシンボルになった。

「僕を知りたければ作品の表面だけを見てください。裏側には何もありません」

自分を知られることを極端に嫌がったウォーホル。実生活は母親と二人暮らしで、週に数回は教会へ通った。晩年には教会の奉仕活動に参加し、貧しい人達のテーブルに食べ物を配っていた。彼が信心深いカトリックだということを友人もほとんど知らなかった。

彼はフォーク・アートのコレクターでもあった。それが分かったのも彼の死後。その数は1万点にもおよび、部屋を埋め尽くし、寝室だけで暮らしていた。19世紀初頭の四柱式天蓋付きのベッド、小テーブルには十字架、マリア像のイコンが飾ってある寝室。彼自身の作品は一点も飾っていなかった。「機械になりたい」と公言するポップアートの旗手、その裏側は、人の温もりを感じるフォーク・アートの収集。ドラッグとアルコール、パーティー三昧のクレイジーな日々の表の顔と裏側にある自制された私生活。自己の二面性を生き切ったアンディ・ウォーホル、『白痴の賢者』『聖なる愚者』と語られる所以だ。     

『The Gold Book』という1957年の作品。金色のペーパーボードに描かれた花や男の子や女の子が、細く優しい線で描かれている。これを見ていると、60年代以降の記号化した作品を生み出したポップアーティストとしてのウォーホルではなく、十字架とマリア像のイコンを飾る、繊細なウォーホルが見えてくる。

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