🎥美学No.63《10代の恋》

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『10代の恋』というタイトルの映画ではない。1971年、なぜか、10代の恋を描く映画が連続で日本公開された。『小さな恋のメロディ』と『純愛日記』は1971年6月、『フレンズ 』は1971年11月。当時は、ビデオショップやDVDが無い時代。映画は映画館じゃなくちゃ観られない。で、私は全て観た。中学生女子が、こんな映画を立て続けに観たら、「恋をしなさい、ときめく恋を!」と、毎日言われているような気分で、勉強もおちおちやってられない。10代の恋愛映画の三連発!!煽り立てていた大人の戦略は、はて……..。

『小さな恋のメロディ』は11歳同志のダニエルとメロディの恋。ビージーズとクロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤングの音楽は、映画の魅力を何十倍にもする。サントラ盤も買った。主役の女の子、トレイシー・ハイドは文句なく可愛くて、ギンガムチェックの制服に、乙女心はくすぐられっぱなし。

『純愛日記』はスウェーデン映画。15歳の少年と14歳の少女の恋を淡々と描く。ちょっと不良っぽい主役の女の子が、とてもキュート。彼女がデートの前、鏡に向かってマスカラを塗っているシーン……初々しくてよく覚えている。少年の友人役で、映画『ベニスに死す』での美少年、ビョルン・アンドレセンが出ている。

『フレンズ』は15歳の少年と14歳の少女の恋愛と出産の話。続編も公開されたが、子供が出来て育児に追われる二人は、もうすでにティーンエイジャーの恋の甘酸っぱさはない。生きていかなきゃ、暮らしていかなきゃという、切羽詰まった日常は、ロマンティックにはならない。

私の15歳、同じクラスの好きな男の子をずっと見ていたくて、席替えのときは、いつも彼の後方を狙っていた。そして、思う存分見つめた結果、ノートや本には彼の後ろ姿のデッサン。机に突っ伏して寝ている姿や、肩肘ついて鉛筆を回してる姿が、もう、沢山!!デッサンの腕も上がろうというもの!目に焼き付けたいという思いが、初めて描いたデッサンとなったのだ。

目が合うだけでドキドキ、言葉を交わすだけで幸せ、彼の名前を書いては未来を夢見る…….なんていうのは、初恋ならでは。10代に好きだった男の子とは、あえて会わない方がいい。「お互い年とったね」と現実を見つめるよりも、10代の笑顔のまま、時おり思い出しては胸がキューンとなる幸せを奪わない方がいい。この映画を創った大人達もそんな気持ちだったのかもしれない。思い出は永遠の楽しみだ。

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